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SHEIN フランス初の常設店がBHVマレに登場|パリ在住27年が感じたこと

BHV マレ

はじめに


2025年11月5日、**フランス・パリの老舗百貨店BHVマレ(BHV Marais)**に、中国の通販大手 SHEIN(シーン) の常設店がオープンしました。


世界初の常設店舗ということで、ニュースでも大きく取り上げられ、フランス国内では「ファッションの多様化」か「大量消費の象徴」かと、賛否が分かれています。


この記事では、パリ在住27年の筆者が現地を訪れて感じたことを、生活者目線でリアルにお伝えします。


SHEIN フランス初の常設店がBHVマレに登場


オープン初日のパリ・BHVマレの様子


オープン初日は朝から行列ができ、200人ほどが入店を待っていました。


一方で、少数ながら抗議デモも行われ、SHEINのビジネスモデルに対する意見も見られました。


ただ、パリではデモは日常。筆者自身、フランスで何百回も抗議活動を見てきましたが、今回はそこまで大規模なものではありませんでした。


むしろ印象的だったのは、警察の数が参加者より多かったこと。


オープン前から厳戒態勢が敷かれ、11時を過ぎても扉は開かず、重い空気が流れていました。


BHVマレの現地体験と店舗の雰囲気


5日後に訪れた日曜日のBHV


オープンから5日後、日曜日に再び訪れてみました。



SHEINの売り場は6階にあり、BHVの3か所のエスカレーターが故障中。


これぞまさに「フランスのデパートあるある」です。


6階では50〜100人の列ができていて、入場時と退場時に警備員による荷物チェックが行われていました。


日曜日は全品20%オフということもあり、店内は多くの買い物客で賑わっていました。


SHEINの広告デザインに感じた違和感


重たいトーンの垂れ幕


筆者が最初に違和感を覚えたのは、BHVの外壁に掲げられた大きな垂れ幕。


SHEINの社長とBHVの社長が並んだ白黒写真で、背景には黒い旗が翻っていました。


その日は曇り空で、全体的に暗い印象。


「せっかくの世界初オープンなのに、もう少し明るくできなかったのかな」と感じたほどです。


もちろんブランドの世界観を表現したものではありますが、BHVの普段の明るい広告と比べると、やや重い印象を与えるものでした。


フランス人の反応とSHEINへの見方


パリの人たちは意外とポジティブ


パリの街で話を聞いてみると


「時代の流れじゃない?」


「白と黒のショッピングバッグ、すごくおしゃれ」


「行ってみたい!」という声が多く聞かれました。


フランス人の反応は意外にもポジティブ。

ファストファッションに対して批判的な層もいますが、多くの若い世代は「安くてトレンドが早い」ことを好意的に受け止めています。


BHVマレという百貨店の歴史と変化


創業170年の庶民派デパート


BHVマレは1856年創業の老舗百貨店。“庶民派”と言われつつも、実際には地元ブルジョワ層の生活に根ざした上品な雰囲気が特徴でした。


しかしSHEINの常設店オープン後は、客層が大きく変化


パリ郊外からの家族連れが増え、店内がよりカジュアルでにぎやかな空間になりました。


まるで「動物園と幼稚園が一緒になったよう」と感じたほどです。


これもまた、時代の流れなのかもしれません。


SHEIN出店をめぐるフランスブランドの撤退


アニエス・ベーなど複数ブランドが退店


SHEINの出店を受けて、BHVに入っていたいくつかのフランスブランドが撤退を決定しました。


たとえば、**Agnès b.(アニエス・ベー)**は「自分たちの価値観とは合わない」として撤退を表明。


また、A.P.C.、Figaret Paris、Rive Droite Parisなども「ウルトラファストファッションとの共存は難しい」とコメントしています。


これはSHEINへの批判というより、“ブランドの哲学を守る”ための選択と見るべきでしょう。


それでもBHVはパリの象徴


変わらない景色と文化


どんなブランドが出入りしても、BHVの屋上から見えるノートルダム大聖堂とセーヌ川の景色は変わりません。


この絶景を見ていると、「たとえ客層やブランドが変わっても、パリの本質は変わらない」


そんな思いが込み上げてきます。


BHVはこれからも、パリの“今”を象徴する場所であり続けるでしょう。


まとめ|SHEINとフランス社会のこれから


SHEINの常設店オープンは、フランスのファッション界にとって大きな転換点です。


「多様性」と「倫理性」という2つの価値観のあいだで、ブランドも消費者も今、選択を迫られています。


それでも、パリという街は変化を受け入れながら進化していく


それが、長年ここで暮らしてきた僕の実感です。


🕊 あとがき(パリ在住より)


このブログでは、パリに27年住んできた経験から、「ニュースでは見えないフランスの日常」を発信しています。


動画版はこちら ▶︎ (11月12日19時30分公開予定!)



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